

かわいらしいお弁当箱の中に、冷めても美味しく、栄養バランスが整えられた色とりどりのおかず。
日本のお弁当は、日本食文化のジオラマとも言わる優れた日本の食文化の一つです。
外国人との仕事の席でも、お弁当を用意する機会がありますよね。
しかし、外国人のお客様には、どんなお弁当を実際に用意すればいいのか、いざという時に悩んでしまいます。
そこで本記事では、
・日本のお弁当のどんな部分が外国と違っているの?
・外国のお弁当事情とは?
・訪日外国人に喜んでもらえるお弁当が知りたい!
・お弁当と楽しめる日本文化体験が知りたい。
といった内容をお届けします。
この記事を参考に、ぜひ訪日外国人に日本のお弁当を楽しんでいただきましょう!
日本のお弁当
日本のお弁当の特徴
日本のお弁当の特徴は、蓋を開けた瞬間が最高になるように配慮されていることです。
味、盛り付け、温度、歯応えは、すべて食べる時を想定して用意されています。
小さなおかずが彩りよく収められたお弁当に、蓋を開けた瞬間に食欲がわきます。
この、お弁当に入っている「おかずの品数」の多さに、まず、外国人は驚きを隠せません。
日本のお弁当は、食べる時の温度を考え、冷めても美味しく食べられる味付けや歯応えになっているのもポイント。
お弁当のおかずは、食卓で食べるのおかずと似ているようで少し違い、ほんの少し味が濃いものから、汁気がでないもの、など工夫が凝らされています。
そして、週末におかずを作り置きしておける便利さもあり、作る側の負担も考えられているのも特徴です。
そんな小さな心遣いに、海外から日本のお弁当の凄さについて注目されているのです。
お弁当の歴史
お弁当の原型は、古事記にも登場するとても長い歴史のある日本食文化。
平安時代には、「屯食(とんじき)」といわれるおにぎりの原型が現れます。
お弁当がより一般的に普及したのは、菜種油が灯りに使われるようになって労働時間が伸びたと言われる、江戸時代中期18世紀あたりと言われています。
1日の生活がながくなり、1日3食食べる人が増えたのもこの時代。今のお弁当の原型となるスタイルが、それぞれの身分や職種の間で生まれていきました。
農夫たちの間では、麦飯にうめぼしや漬物をいれた「メンパ」といわれる曲げわっぱ弁当のような入れ物にはいった食事を携帯する人が多くなります。
田植えや収穫など大人数が一度に作業する時は、大きな桶におにぎりやおかずをいれたいまの行楽弁当のようなスタイル。
漁師の間では、檜の四角い木の箱にご飯をたくさん詰め込んで、おかずはとれたてのお魚を食べるスタイル、山で暮らすマタギの間では、もち米に薬草を混ぜ込んだ「カネモチ」という携帯食が主流でした。
特に、武士階級のお城勤の侍のお弁当は、現在のお弁当の原型を見ることができます。
このように日本文化の中、人々の暮らしの中からゆっくりと進化したお弁当の文化はとても深く、日本文化や歴史を考える上でも重要な存在になっています。
参考サイト:Plenus 米食文化研究所 お弁当コラム
日本のお弁当に外国人が興味深い理由
外国人からお弁当への興味は、やはり栄養バランスの良さと見た目の美しさにあります。
野菜、肉、米をバランスよく、自宅の外でも取ることができるので、毎日の健康を気遣う人々からも注目が集まるのです。
欧米諸国では、サンドイッチを中心にしたランチボックスが主流。その他サラダパスタなど軽いものが多くなります。
なので、小さな箱の中に色とりどりのおかずが、たくさん入っている日本のお弁当に驚かれるのです。
そして、冷たくても美味しいというポイントにも興味が集まります。
他のアジア諸国のお弁当では、屋台文化が発達している背景もあり、冷めた食べ物を食べる習慣がない国も多くあります。なので冷めているのにおいしい、というポイントに驚く人も。
このように、日本人にしてみたら、当たり前のようなことなのですが、外国から見ると驚きのポイントになる部分がお弁当には多くみられます。
地域別海外のお弁当事情
それでは、それぞれの国のお弁当事情をみていきましょう!
アメリカ
ピーナッツバターにジャムのサンドイッチ、スティック野菜やチーズに果物、と、シンプルなランチボックスが主流です。
パンの変わりにクラッカーやチップスが入ることも。日本の感覚とはちがって、つまめるものが基本になっている感覚です。
クッキーなどの最後の甘いものは必須です!
中国
中華圏のお弁当は、温かいお弁当が主流です。
ご飯を冷めて食べるのは胃に負担がかかって体に良くない、と考える人が多く、お弁当箱は加熱式のものが主流です。
お弁当というよりは、好きな出来立てのおかずを仕切りのついた入れ物によそう、テイクアウト式が主流のようです。
韓国
韓国のお弁当は、日本のお弁当に一番近いかもしれません。
「キンパ」と呼ばれる日本の太巻きのようなものや、稲荷寿司にそっくりなもの。そしてお弁当を振って箱の中でビビンバが完成する韓国独自のお弁当もあります。
しかし、日本のような小さなおかずがたくさん、というよりご飯ものが多い印象で、文化の近い韓国人にも日本のお弁当は珍しく感じるそうです。
フランス
フランスのランチボックスは、サンドイッチやサラダが基本で、基本的に冷たくそのまま食べれるタイプのもの、という感覚。
サラダの中にパスタやチーズが入っているタイプのお弁当を持ってくる人を多く見かけます。
トルコ
トルコ料理の代表はやはりケバブですが、お惣菜のレパートリーも多いです。
スパイスの効いた焼き肉や、肉団子。さまざまな種類の野菜のマリネなど、トルコ人のランチボックスは日本のお弁当にもにています。
外国人に人気のある日本のお弁当の種類
では一体、外国人の方はどんなお弁当が日本らしいお弁当,と感じているのでしょう?
日本のお弁当らしさを感じさせる、海外でも人気のお弁当の代表を紹介します!
キャラクター弁当
ウサギの形のりんごや、たこのウインナーなど、むかしからお弁当の中にかわいらしいものは溢れていました。
近年「食の細い幼児が楽しくお弁当を食べられるように」とお母さん達から始まったキャラクター弁当。
今はSNSの流行によって、好きなアニメや彼氏や旦那に向けてのメッセージなど、バラエティーゆたかな日本のキャラ弁ファンは世界中に広がっています。
食べる人のために作るお弁当は、国境を越えた愛情表現ですよね。
幕の内弁当
江戸時代に庶民達の娯楽であった芝居の幕の間に食べるお弁当としてうまれた幕の内弁当。
日本のお弁当の魅力の一つは、美しさでもあるので、幕の内弁当の華やかさは人気です。
パリのリヨン駅のお弁当屋さんで、一番人気だったのは、バラエティ豊かな幕の内弁当でした。おかずに美食家のパリ人達にも大人気。
江戸時代からつづくこの幕の内弁当は、いろいろなおかずが入っていて、食べるのも楽しくなります。
松花堂弁当
もともと松花堂弁当とは、懐石料理の一つ。
茶人 貴志彌右衛門が、茶室 松花堂で茶事をする際に、農家の種入れとして使っていた器をヒントに茶懐石を思いつきます。
それを名料亭 吉兆 の創始者であり、日本文化に対する高い見識を料理にとりいれた現代の日本料理の祖、湯木貞一に命じてできたのが、松花堂弁当のが始まりです。
茶懐石を日本料理に取り入れるために奮闘した、湯木貞一のこだわりが松花堂弁当のなかに表現されました。
十時の仕切りや、見た目が美しく、お互いに料理の匂いが移らないこと。
松花堂弁当の中には湯木貞一が大切にした日本のおもてなし文化を垣間見ることができます。
料亭の松花堂弁当はVIPの方や日本食が初めての方にもたのしんでいただけるでしょう。
外国人が喜ぶお弁当とは
一口に外国人といっても、それぞれの国や民族によってちがいはあります。
しかし、お弁当でもお食事なので、普段のお食事とおなじく外国人の方好みの日本食という傾向はみられるでしょう。
ボリューム感を求めるのなら
欧米の特に男性の方などは、日本の食事の量がどうしても少なく感じる方がけっこういらっしゃいます。
なので、食欲が旺盛な方には食べ応えのある日本食は大人気。
唐揚げやハンバーグ、生姜焼き弁当など、味が濃くてボリューム感のあるお弁当が好きな方はけっこういらっしゃいます。
そしてサーモンや鯖の味噌煮も案外人気のあるメニューです。
ただし、お客様は日本に滞在して慣れない外国生活の真っ最中。
揚げ物やお肉料理ばかりでは、体への負担が大きいので、サラダやお味噌汁といった副菜でバランスよくご用意していきましょう。
ヘルシーさが魅力のお弁当
精進料理はもともと修行僧が仏教の戒律に基づいた料理です。
古来より続く、動物性タンパク質をつかわない究極の料理方法が日本にはあり、その技でできた精進料理は大切な日本文化。
そんな精進懐石をお弁当にした精進弁当は、そんなときにおすすめです。
精進料理とまではいかないにしても、あっさりとした野菜の煮物や、高野豆腐に飛龍頭など、野菜を中心として豆腐や豆類をつかったお弁当も大人気です。
そしてお米にはグルテンがないので、グルテンフリーを意識しているかたや、ベジタリアンの方にも人気があります。
加熱式駅弁
エンターテインメント性の高いお弁当としておすすめなのが、シュウマイ弁当や牛タン弁当など、ひもを引っ張ると加熱してくれる駅弁。
化学反応をおこして、加熱する仕組みのお弁当は外国人の方には大変驚かれます。
冷たいお弁当が苦手な方にもぴったりですし、お客様のおみやげばなしとしていただけるのでそんなお弁当も楽しいかもしれませんよね。
参考サイト:法人様・事業者様専門宅配弁当 デリシャステイクWEBストア
外国人とのセミナー・研修や会議でのお弁当
仕事や会議で外国企業の方たちとお弁当を食べるシーンもあるのではないでしょうか?
セミナーなど何日も一緒にお昼を食べることになると、どんなものを用意すればいいのかなかなか悩んでしまいますよね。
そんな時、どんなお弁当を選択すればいいのか、ポイントをご紹介します。
せっかくだから日本式のお弁当を
仕事で訪日している人たちも、やはり「滞在中には日本料理を楽しみたい!」と考える人は多くいらっしゃいます。
外国人だから、食べ慣れているものがいいのではないか?と考えがちですが、ここは美味しいお弁当を用意してみましょう。
しかし、相手の文化を無視したばかりでは、印象が悪くなってしまう場合もあるので、ちょうどいい匙加減が重要になってきます。
日本食を楽しみたい外国人へのお弁当
欧米人で日本食が好きな人は、結構お弁当が好きだったり、楽しみにしている人を多く見かけます。
なので、相手が日本食に興味がありそうな時は、おすすめのお弁当屋さんや料理店のお弁当を用意すれば、きっと喜んでもらえますよ。
ただ、日本食に興味はあるけれど、案外苦手な人が多い煮物や漬物。
日本人にとっては馴染み深い味ですが、初めて食べる人にとって冷めた煮物は要注意です。
事前に食べてみて、美味しいのなら問題ありませんが、外国人で冷めた煮物が全く食べられない人は結構います。
なので、伝統的なお弁当もいいですが、揚げ物やハンバーグ、焼き鮭など、万人受けするおかずのお弁当を選ぶことをおすすめしますよ。
アジア圏の方とお弁当をご一緒する場合
中国圏を始めとして「冷たい白米が食べたくない」というアジア人は案外いらっしゃいます。
なので、そんな時は無理にお弁当を出さないで、ビュッフェ形式の昼食を用意するのも手ですよ。
あるいは、冷めている状態で食べる日本食、お寿司もおすすめです。
宗教や風習、食への意識を知る
イスラム教徒が多い国からのお客様や、ベジタリアンなど、食に関してタブーやこだわりがある人がいらっしゃいます。
また、高血圧やアレルギーなど、健康に気を使わなければならない人もいらっしゃいます。
事前に知ることができればいいのですが、大人数の場合はなかなか把握することができませんよね。
そういった場合は注文するお弁当の中に、ハラルフードのお弁当やベジタリアンメニュー、減塩やアレルギー排除食のお弁当を入れておきましょう。
選択肢を用意しておくことで、食べることができなかった、という人が出ることを避けることができます。
外国人に不人気のおかず
どんなおかずが不人気なの?
案外、突然の和食体験に驚きを隠せない外国人の方は多くいらっしゃいます。
日本食を食べたことのない方に、突然冷めているお弁当のおかずはなかなか難しいかもしれません。
たとえば、根菜の煮物。
味のしみ込んだ煮物は大変おいしいですし、もちろんお好きな方もたくさんいらっしゃいますが、和食ビギナーの方には冷めた煮物は時折難しいそうです。
日本の根菜類は欧米ではあまり食べない野菜がおおいので、その野菜を食べるのも初めての体験の人もいらっしゃいます。
そして漬け物、佃煮は、あまり食べ慣れていない方にはびっくりするお味だとか。
特に梅干しや福神漬けは、好みが大きく分かれます。
もしお相手の方は日本滞在がはじめてで、日本食もたべたことがないようでしたら、幕の内弁当のように全体として楽しめるお弁当より、一品を強化したお弁当をご用意したほうが無難かもしれません。
参考記事:【外国人が困ること】 日本の文化・習慣・マナー 9選
お弁当は冷たい?
屋台料理や、出来立ての食事のテイクアウトが充実しているアジア諸国では、冷めた料理を食べる事はあまりないそうです。
反対にサンドイッチやサラダなど、冷たいものを昼食として食べ慣れている文化圏の人のほうが、食事の温度に関しては寛容なようです。
冷たいお弁当がどうしても好きになれない、という日本以外のアジアの方がいらっしゃるので、事前に出身国での食事風景などを調べてからご用意できるといいですよね。
もし難しいようでしたら、助六寿司や柿の葉寿司など、お寿司でお弁当という手もあります。
お弁当と一緒に楽しめるおすすめしたい日本文化体験
お花見・ピクニック
4月、桜の季節に外国人をおもてなしするのなら、ぜひお花見にさそってみてはいかがでしょう?
日本の桜の季節は、本当にすばらしく、この季節にだけ味わえる日本の美しさを実感していただくことができます。
桜を美しく見えるレストランを予約して一緒に昼食を楽しむのもいいですし、桜が満開の河川敷を屋台ぶねで渡りながらお花見というのも素敵ですよね。
一番のおすすめは、やはりお花見。
お花見スポットで、日本の花見弁当を食べていただく。まさに日本でしかできないお弁当体験です。
お花見の季節は多くの料亭が特別なお花見弁当を販売しているので、VIPのお客様にも失礼のない素敵なお弁当でのお花見を企画することができますよ。
おすすめ関連記事:【花見の歴史と日本文化】外国人も大好きな桜と人気スポット 英文事例あり
芸者体験
芸者体験をお食事と一緒に楽しみたいのなら、料亭の松花堂弁当をお食事にお願いするのもいいですよね。
日本人の芸者遊びを楽しむ人々の間でも、お茶屋さんに松花堂弁当をお願いして楽しむのが芸者遊びの伝統になっています。
松花堂弁当や懐石弁当は本格的な和食の味を楽しめるので、VIPのお客様にとってもうれしいお弁当になります。
芸者体験のお食事として選べば、本格的なお茶や遊びを味わっていただけますよ。
お弁当作りワークショップ
日本のお弁当を作ってみたい!という外国人は案外多くて、その気持ちを大切にしたお弁当のワークショップも人気です。
プロの料理研究家を講師に招いて、日本のお弁当の作り方をレクチャーしていただきます。
特に団体のお客様におすすめで、ポイントはなんといってもワークショップの後に、お弁当を食べていただけるランチプランと掛け合わせることができるところ。
自分で作ったお弁当をみんなで楽しんで食べれるので、大変賑わう企画になっております。
もし、ランチのおもてなし企画に迷ったら、お弁当ワークショップ、おすすめですよ。
まとめ
時折日本文化は、ちいさきものへ集約していく傾向にあります。
日本料理のジオラマのようにお弁当は私たち日本食のミニチュア体験。
大切な人の体をおもって、家庭で作られるお弁当から、職場で一息つくときに楽しみにしている仕出し屋さんのお弁当や旅先で美しい風景とともに食べるお弁当。
お弁当は、様々なシーンで心に残る食事になります。
日本のお弁当へ注がれてきた工夫や熱意や愛情は世界の人々からますます注目をあびるでしょう。

日本独自のおもてなし文化を世界中の人へ広めるために日夜努力しています。外国人の方の接待やおもてなしのご相談はお気軽にご連絡ください。お問い合わせはこちら
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